市川春猿さんという歌舞伎役者さんを知っていますか?
すみません、私も詳しくはわかりませんが、その方の出した本になんとも言えないお淑やかな女らしさを感じました。
ちなみに、男性の方ですが女性以上に女性的です。
この本は、内面美を磨きたいと思っている女性に送りたいと思います。
市川春猿さんの「女づくり」です。
品性には美学、思いやり、知恵など様々なものが必要であり、その繊細さは日本の誇りとも言えます。
日本古来から続く「歌舞伎」にはそうした先人たちの、美の結晶が詰まっています。
本書は歌舞伎の女形として活躍されている市川春猿さんが書かれた内容なので、着眼点や主張にとても説得力があります。
「女づくりの」内容

- 美学で女の知識をつける
- 25のレッスンで、具体的にすることを学ぶ
- 実践する
- 年齢と美について
大まかに4章からの内容構成になっています。
「女づくり」を読んだ感想

イラストはありませんが、一つの項目に対して端的にまとめてあるので、文章を読むのが苦手な方でもサクッと一気読みできると思います。
歌舞伎は身近にあった
歌舞伎っていうと敷居が高いイメージがありませんか?
興味はあるものの、気軽に行っていいものという感じがしません。
しかし、それは勝手なイメージであって、歌舞伎の元祖の意味を知った時に思わず笑いがこみ上げました(笑)
実は、歌舞伎はその当時のニュースであったということ。
もう一つ歌舞伎に行くのがためらわれる理由が、
何を言ってるのかわからん!ということです。
聞きなれない言葉が多いので、どうしても半々の理解で終わってしまいます。しかし、歌舞伎は当時に例えるとニュース。
言ってることは意外と単純で「誰それが失恋したとか、誰それが決闘して勝った」とかです。
歌舞伎は、昔の日本人の心意気を感じることができるような気がします。
自分と比べると、「なんて凛々しいんだ」「なんて一途なんだろう」と勉強になる部分がたくさんあります。
「女づくり」から学ぶ、歌舞伎とは美の宝庫

もともと男性である私が、しぐさや姿勢、メイクを工夫することによって、「どうやったら女性らしく見えるか?」を追求しているのです。
引用: 女づくり
つまり、日々研究した「女らしく見える」エッセンスの塊が歌舞伎というわけです。
動き一つで女らしさが変わる
歌舞伎では、人の話を聞いて頷くとき、若い娘役のときほど、大きく首を傾げなさいと言われます。逆に、頭をあまり動かさずに小さく頷くと、ほら、老女にみえるでしょう?
引用: 女づくり
歌舞伎ではつねに、「どうやったら女性らしくみえるか?」「どうやったら目指す女性の年齢に近づけるか?」などを研究していると書かれています。
日々、人の動きを観察して勉強しているということですね。

歌舞伎からは学ぶことがたくさん
歌舞伎の舞台の中では、それぞれの役の人々が「その役になりきるにはどうしたら良いか?」考えた結晶が詰まっています。
美しさの秘訣はなんだろう?と見ることで勉強にもなります。
楽しめて、勉強できるのであれば一石二鳥ですねっ!
歌舞伎では日本古来の色の使い方、重ね方を学ぶことができます。詳しくは美輪明宏さんの「おしゃれ大図鑑を読んでみた感想」に書いてありますので読んでみてください。

「女づくり」から学ぶ紅をさすとは、見られている意識の表れ

なぜわざわざ紅をさすのだろうか?もちろん、唇に色をのせると一気に顔色が華やぐのは間違いありません。
しかし、それ以上に深い理由があります。
美しさは人の視線によって磨かれる
つまり、常に誰かに見られているという意識を持って生活することが美しさを保つ秘訣なんですね。
引用: 女づくり
確かにそうですよね。見られていると思うから、あくびの時は手を当ててようと思いますもんね。もちろん、幼い時のしつけもあるけれど。
結局、見られていることを意識すると途端にそれが女らしさに変わります。
いつでも見られていることを意識すれば、チャンスだってものにすることができます。
いつどこで愛しの彼にばったり会うかわか、ないですからね。
引用: 女づくり
「眉毛書かなくてもいっか」「口紅はいいか」「なんならすっぴんでいいか」
そんな時に限って、気になってる人と出会ってしまうものですよね。
小さな積み重ねが外見の美しさを保つ
もちろん、こってりと口紅を塗れということじゃないんですよ。色付きのリップをさっと塗るだけでも全然違うということ。
その、ちょっとした心がけが外見の美しさにつながっていくと思うのです。
引用: 女づくり
髪も巻いて、あれしてこれして…だから、面倒臭くなってしまうんですよね。別に完璧にやらなくていいんです。
「控えめにやる」を意識したら面倒くさくなくなります。「あっ、こんなんでいいんだ」って拍子抜けしちゃうくらいです。
「女づくり」から学ぶ、直す仕草とは気遣い

直すは女性の特権であり母性の表れ
そして女性が何かを直す仕草に、(中略)そこに、男性には決して真似できない繊細な心配りを感じるからかもしれません。
引用: 女づくり
服を直す、髪の毛を結い直す、お化粧直しなど、これらは男性よりも女性のほうがすることが多い仕草ですよね。
何かを直す仕草に母性を感じ取るのかもしれません。身近なのは母親です。
母親が子供のために何かを直す仕草には母性が現れています。
もしかしたら無意識のうちに男性は、女性がなにかを「直す」仕草に母性を感じ取るのかもしれません。
理想的な気遣いの形とは?
直してやった、気を遣ってやったという押し付けがましい人がいますよね。かえって品を落とすのでやめましょう。
気づかない人はそれまでの人です。後になってじんわりくるのが本当の気遣いだと思います。
さらに、「直す」きづかいができるけれど、その場で決してそれを感じさせない女性は最高ですね。
(中略)
その場では全然気づかなかったのに、あとになって「そういえば、彼女、気を遣っていたなあ」と気づくと、男性はもうグッときてしまいますよ。
引用: 女づくり
本物の気遣いは相手に気づかせないこと、という意見もありますが良し悪しです。
当たり前になってしまうと辛くなるのは本人。
自分が疲れない範囲(できる範囲)でやるのが、一番見返りも求めずに理想的なんじゃないかと私は思います。
気遣いが劣化した原因
- 男性が気遣いを求めなくなった
- 気遣いに気づかなくなった
- 女性が「気遣い」を使わなくなった
男性が気遣いを求めなくなった
最近は「女性にそこまで求めるのはどうだろう?」という男性も多いようです。
でも、私に言わせれば、男性のその感覚が逆に女性をダメにするような気がします。
引用: 女づくり
求められなければ、自発的にやる女性はどんどん減っていってしまうでしょう。
男性が気遣いに気が付かない
今どきの男性は女性に「気遣い」をもとめない、せっかく気遣いしても、気が付きもしない。
つまり、男性の「女性を見る目」がなくなってきている。
引用:女づくり
文字通り「気を遣う」、頭を使っているのに、それを当たり前とされるとイヤになります。
男性側が気遣いにしっかり気づけないと、女性の気遣いのレベルも落ちます。
だから気遣いをしなくなる、したくない女性が増えてきているのです。
気遣いは使わないと衰える
そうすると、女性の側も「わかってくれないなら、いいわ」というわけで、ますます気を遣わなくなる。
引用: 女づくり
モノゴトは何でも衰えていくので、気遣いも使わないとドンドン質が下がっていきます。
女づくりから学ぶ、恋愛至上主義の落とし穴

恋の始まりは?
恋は見つかるものでも探し歩くものでもない。
(中略)自分が好きになれる人が現れるかどうか、ただそれだけの問題じゃないでしょうか。引用: 女づくり
だからこそ、探しているときほどうまくいきませんよね。
無理がある恋は薄情なり
- 好きでもないのに付き合ってみた
- 自分の力量を試したくて付き合うまでこじつけた
そうやって無理に手に入れた恋って、その程度にしかならないです。
仮に4年付き合っても好きになって付き合ったわけじゃないから、どこか決定打が足りません。
簡単に「別れてしまおう」となってしまい、無駄に年月をかけてしまうこともあります。
もちろん例外もありますけどね。
恋愛がステータスになっている
恋愛って、するしないというものじゃないと思います。じゃあなぜ、こぞって恋愛したがるのか?
たぶん以下の理由が少なからずとも、あるのではないかと思います。
- 恋愛している人は輝いているようにみえる
- 充実してるようにみえる
- 恋愛していない自分を比較してしまう
ある意味でステータス化してると感じます。
恋愛がすべての人
本書ではこう述べられてます。
恋愛が人生のすべてになってしまった人はつらいと思います。なぜなら、そういう人にとって、「人生で最も大切な人」は恋人ただひとり。
そうすると、恋愛そのものの悩みは、いったい誰に相談すればいい?ということになってしまいます。
引用: 女づくり
たしかに、大事な人が恋人ただひとり、というのは少しさみしいと思います。
「女づくり」から学ぶ、美人の3つの条件

美人の条件を三つ挙げてください、と聞かれたら、私は「己を知ること」「内面の美しさ」そして「清潔さ」と答えます。
引用: 女づくり
己を知ることとは?
自分のことを知らないと、どこをどう改善していけばわからなくなります。
オードリーヘップバーンは自分自身を、「顕微鏡で見るようにくまなく分析した」とおっしゃっています。
自分の見せ方を知るには、己を知るところから始めないといけないという事ですね。
内面の美しさとは?
ここでいう内面美と言うのは、なよなよした女性らしさではありません。凛とした強さの中にある美しさのことを指しています。
歌舞伎に登場する女性たちも、弱弱しいものではなく、強さや、時には、たくましさを感じられると述べられています。

清潔さ
どんなに着飾っていても、不潔だとどうにもなりませんよね。本能的に全人類が清潔さを無条件に求めるでしょう。
女づくりから学ぶ、約束の時間について

わたしもルーズな方が好きではありません。周囲の友達にも多いのですが、5分10分の遅刻は当たり前の感覚が信じられないです。
ルーズは何事にも共通する
「時間にはルーズだけど、ほかのことはきちんとしている」って人はいないと思いませんか?
ここでも一事が万事。「時間にルーズな人は、生き方自体がルーズな人」なんです。引用: 女づくり
全くその通りだと思います。
私も、ルーズな人で生活がきちんとしている人には出会ったことがありません。
いつも時間にギリギリで、仕事にしてもギリギリだからクオリティやミスが増える。
投げ出しやすくテキトーな人が多いように感じます。
ルーズは顔に出る
そして、怖いのは、そういうルーズさはいつしか顔にも出てしまうという事。
引用: 女づくり
「女づくり」から学ぶ、ボーイッシュな魅力

ボーイッシュは難しい
ボーイッシュを演出するには、客観性が必要です。
食事の席でも「これ美味しいね~」を下品に見えないように(ボーイッシュに)言うには相当の工夫が必要になります。
美輪明宏さんも言っていましたが、ボーイッシュを下品なく演出するには、基本の「上品な女らしさ」を獲得していないと、無理でしょう。
基本がしっかりしていないと、応用編のボーイッシュを格好よく演出するのは厳しいという事です。
ボーイッシュをだらしなさとはき違えている
極端な例でいうと、ジャージを着て道端にしゃがみこんでいる女の子たちとか。
引用: 女づくり
これはただの下品ですよね。
この境界線が難しく、また、感性の違いというものなのでしょう。
本当のボーイッシュは女らしい
意外に思うかもしれませんが、ボーイッシュな人ほど、男性のように細かく繊細だったりします。
一見綺麗な令嬢風の女性のほうが、部屋の中がぐちゃぐちゃだったり、水回りが汚かったり、細かいところを気にしない人が多いように経験から思います。
おそらく男性は細かく繊細で、女性は図太く、したたかだからなんでしょう。
「女づくり」から学ぶ、自分の基本の重要性

自分の基礎となる、核となる部分は曲げないという事です。
あなたの核はなんですか?
それは人によって「仕事」であったり「家族」であったり、さまざまでしょう。
引用: 女づくり
私の核は、プライベートの時間です。
基本を整えるとは?
著者は舞台が生活の基本なので、どんなに遅い帰宅をしても、8時には起床して生活を整えて舞台に行っていらっしゃるようです。
これが自分の基本をおろそかにしないということです。なんとなくわかりますね。
私はプライベートの時間がないと発狂してしまうので、意識的に確保するようにしています。
「女づくり」から学ぶ日々の中での女の作り方

努力だけなら猿でもできる。重要なのは方向性
どんなことにも共通することですが、努力の方向性を見誤ると時間と労力の無駄になってしまいます。
つねに、「自分は今この方向でいいのか?」と自問自答が必要。
そうやって常にアップデートしているので新鮮な状態に保たれるのではないかと思います。
日々の積み重ねが大きな結果となって戻ってくるのでしょう。
女形の気遣い、立役の気遣いからみる、気遣いの真髄
女形には女形の、立て役には立て役の気遣いがあります。
女形は立て役が一番よく映るように配慮したりしなければならないようです。しかし、立て役にも女形に対する配慮は色々あります。
ここからわかるのは、お互いに思い合う気持ちということです。
思いやりには観察力が必要
相手が今何が必要なのかを正しく認識するためには、よく観察しなければわかりません。思いやりとは相手をしっかり見ることから始まるのです。
レディーファーストに甘えないこと
この文化が浸透してきてから、男性側の配慮も多くなりました。しかし、その分「女性が何もやらなくなった」という問題も多くなったように感じます。
本書に記載がありましたが、レディーファーストの文化は男性の意識改革のために始まったことであるようです。なので、「女性は男性に甘えっきりでいい」というわけではありません。
お互いに思いやる気持ちが大切です。
テレビの司会役に学ぶ会話力
相手の話をきちんと、受け止めて理解し、相手の立場を考えて応答できるのは、インタビューに限らず日常会話の基本だと思います。
引用: 女づくり
基本に忠実な人ほど、受け答えも枠にはまったようなものが多いですね。
基本も大事ですが、目の前にいる人の話にしっかり耳を傾けて理解する。これがまず大前提だと思います。
次に相手の立場を考えて、応答できるともっとコミュニケーションの幅が広がりますね。
「女づくり」からわかる自分を高める言葉
「『この人、自分よりうまい』と感じる人は、自分より相当うまい。『自分と同じぐらい』と思える人は、自分よりもうまい。『自分より下手だな」と思える人が、じつは自分と同じくらいである」
引用: 女づくり
とても謙虚な言葉だと思います。うぬぼれがちな心を一気に現実に引き戻してくれます。
これを念頭に置いたら何にでも、感謝できますよね。
まとめ:女づくり【市川春猿】を読んだ感想。内面を磨きたい人おススメ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。いかがだったでしょうか?
後半はなんとなく内面美から少し遠ざかってしまったような感じもしますが…
しかし、日常生活をしていく上で心得ておいた方がいいものばかりが紹介されていました。
女は、日々の中で作られていくのがわかる一冊でした。
- 歌舞伎は美の宝庫
- 視線と男が女を磨く
- 直すとは女の特権であり、気遣いの根源
- 恋愛は気づいたらしてるもの
- ボーイッシュほど難しいものはない
- 自分の軸を持とう
- 努力の方向性は間違えないように